新聞見出しをつけるコツを伝授

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(追記:2017年5月17日リライト)

前回は見出しには大きさに応じた形があって、決められた文字数の中で作らなければならないというお話をしました。

ユーザー
見出しの形は理解できたが、慣れていない人がいきなり見出しをつけろというのは難しいのではないか

ページを読んでくれている方からは、こんな声が聞こえてきそうです。では、どのように見出しをつければ良いのか、実在のニュースを題材につけてみましょう。

ヤフーニュースの記事に見出しをつけた

今回、題材として選んだのはヤフーニュースに載っていた記事です。毎日新聞さんの記事をお借りして全文を引用します。

<ネット制限>SNSやゲームなどの利用7割占め 学業に支障で 法政大や立教大

大学で教育・研究のために設置しているインターネット回線の利用が急増し、制限に踏み切る大学が出てきている。学生らによる動画サイトやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、オンラインゲームなど私的と思われるアクセスが増えているためだ。法政大学(東京都)では、ネツト回線容量の約7割がこれらのサイトの接続に使われていたことから、「本来の学業目的に差し支えが出ている」(法政大学広報課)として、1月上旬からファイル共有ソフトやゲーム専用機からのネット利用制限を始めた。

同大では昨年5月ごろから頻繁に学内のネットでつながりにくかったり、反応が遅かったりといった現象が見られるようになった。同9月に調査したところ、学内のネットワーク回線を流れる通信量は3年前の2倍に増加し、容量のほぼ全てが使われている状態になっていた。通信量の内訳は、学内サービスや授業で利用する通信は全体の30%に過ぎず、残りの70%はユーチューブなどの動画サイト、フェイスブックやツイッターといったSNS、ゲームサイト、ファイル共用ソフトなどの私的利用が占めていたという。

このため、同大は「教育研究活動に重大な悪影響を及ぼす状況に近づいている」として同11月、学生らに不要・不急のネット利用を控えるよう求めた。しかしその後も状況が改善されなかったため、今年に入ってネットの利用制限に踏み切った。

同大広報課は「ネットがスムーズに使えないと、学業や公的業務だけでなく、国内外を含めた大学の共同研究にも支障が出る」と説明。今のところ、利用制限を実施したことによるトラブルや学生、教職員らからの抗議はないという。

また立教大学(東京都)も昨年6~7月、学内のネット利用を一時的に制限した。法政大学と同様、ネットがつながりにくい状態になったためで、「情報通信技術(ICT)を活用した授業運営を優先する」として、学内からアプリやゲームソフトがダウンロードできるアップル社の「アップルアップストア」(Apple App Store)へのアクセスやツイッターの閲覧、登録などをできなくした。

こうした事態が起きる背景には、各大学とも無線LANの接続ポイントを数多く設けるなど、モバイル機器を容易に使える環境を整備していることがある。法政大学はキャンパス内に1400台の接続ポイントを設置。パソコンでなくスマートフォンで手軽にアクセスできることが、通信量の増加を招いたと言える。

立教大メディアセンターは「ゲームなど学業に関係のない私的利用があるとはいえ、これは、大学のみならず社会全体で情報機器の利用環境が変化していることの反映だ。単なるキャンパスでのネットの過剰利用という問題ではない」と話している。【仲村隆】

※2016年2月7日毎日新聞、ヤフーニュースより転載

1段と2段見出しではアプローチが微妙に異なる

さて、まずは前回お話した見出しの形に沿って、1本ずつ見出しをつけていきましょう。

1段と2段でつける見出しには微妙な差が出てくるのは、文字数に制限があるためだ

1段と2段でつける見出しには微妙な差が出てくるのは、文字数に制限があるためだ

左が1段見出し、右が2段見出しです。本数もきっちり守っています。先にヤフーニュースが見出しをつけてくれていたのでそれも参考にはしましたが、1段と2段では見出しの見せ方も微妙に違っているのがおわかりでしょうか。

一般的に新聞の見出しは記事と同じように右から左へ、上から下へと読んでゆく習性があります。目に飛び込んでくる順番に見出しを読み解くと、1段見出しは「ゲームやSNSを使っているせいで大学のネットが悲鳴を上げているよ、学業に支障が出るから制限するんだよ」、2段見出しは「大学がゲーム利用を制限するよ、何のゲーム?ネットだよ。回線が混雑して学業に支障が出るからね」というアプローチの違いがあります。

見出しは柔らかいほどよい

(追記:2017年5月18日)

昔、スポーツ紙から一般紙に転籍した際に、当時の上司から「一般紙の見出しはつけられそう?」と聞かれて「はい、硬い見出しも大丈夫だと思います」と答えました。

すると、上司から「あのね、新聞の見出しは柔らかければ柔らかいほどいいんだよ」と返された記憶があります。

見出しの「硬い」「柔らかい」

ここで話題となっている見出しの「硬い」「柔らかい」について説明します。説明口調や専門用語、難しい言葉などを使った見出しは「硬い」とされ、逆に口語的で誰にでもわかるような平易な言葉に言い換えたり言葉遊び(ダジャレなど)を使ったりする見出しは「やわらかい」と、業界ではいわれています。

政治経済の話題などでは見出しがどうしても硬くなってしまうこともしばしばありますので、絶対に柔らかくしなければダメということはありませんが、「できるだけ柔らかくつけよう」という意識が大切なのです。

柔らかい見出し例:迷いに不振に 太田サヨナラ(プロ野球日本ハム)

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漢字ばかりの見出しは避けよう

見出しは見た目でも硬さ、柔らかさを問われることがあります。特に避けたいのは全て漢字で構成されている見出しです。漢字ばかりだと中国語みたいに見えてしまい、読む気が削がれてしまいます。硬い見出しの代表例のひとつです。

この問題は単語の間に助詞(てにをは)をつけることで解消されます。しかし、文字数制限の都合でやむなく助詞を削っている場合もあるため、簡単に付け加えることができない場合も多いのが実情です。

漢字ばかりの見出し例:休職中職員解雇「無効」(社会面の裁判)、「共謀罪」週内通過断念(政治面)

助詞の有無で意図が逆転するケース

一方、助詞が入っていないと、誤解を招くケースもあるので注意が必要です。

誤解を招く見出し例:新潮スクープ 文春拝借

本来の意味は「新潮のスクープ記事を文春が拝借している(真偽は不明)」という意図で見せたいのでしょうが、うがった見方をすると「新潮のスクープは文春から拝借している」という逆の視点からみた読み方もできます。

これは「文春拝借」に助詞が入っていないから混乱してしまうのです。「文春が拝借」と「文春から拝借」では意味が逆転してしまいます。正確に意図をくみ取ってもらいたいのであれば、見出しは「文春が拝借」とするべきなのです。

記事を囲んで3面記事風に伝える場合の見出し

これらの見出しを読んで、きっと「いやいや自分ならこうつけるのに、こうした方がいいんじゃないの?」とお考えの方もいるでしょう。まったくその通りで、見出しには間違いはありますが、正解はありません。限られた文字数で面白い、効果的に伝わる見出しがつけることができれば良いのです。

もっと言えば、見出しの形はこれに限ったことではありません。今までのような1段、2段と付ける見出しは多くの場合、俗に「ストレートニュース」と呼ばれる事件事故や政治経済の動きなどを伝える記事につくものです。

ただ、ニュースの中にはクスッと笑ってしまうようなお間抜けな事件や出来事もあるでしょう。そんな3面記事的ニュースの扱いは、上記のような見出しを作るのではなく、「囲んで」編集します。つける見出しも面白さが問われますし、センス(言葉の柔らかさ)も必要とされます。囲み記事は形状から「ハコ(箱)」とも呼ばれます。

囲み風の見出しにすると文字数の制限をクリアできて自由な形になる

囲み風の見出しにすると文字数の制限をクリアできて自由な形になる

うーん、あんまり面白くないですが、とりあえずこんな感じでしょうか。文を囲むと新聞の中でも一際目立つ存在となりますし、紙面にアクセントができて「白っぽさ」が解消できます。紙面を作るとしたら最低1カ所はほしいところです。

「白っぽい」とは

作った紙面の「白さ」が気になる部分

作った紙面の「白さ」が気になる部分

見出しや記事が部分的に偏りがちになると、他方で記事しか流れていない部分のスカスカ感が目立つことがあり、寂しい印象を与えます。それを防ぐための効果的な配置として囲み記事を作ることが求められてきます。囲み記事を置くことができなくても、紙面の上部にばかり大きな見出しを置かず下の方にも散らす、という配慮があると紙面としてのレベルが高まります。

見出しをつけるコツ

さて、肝心な見出しを上手につけるコツは、それぞれの見出しを「独立させる」という意識が重要です。上記でつけた見出しを一つ一つ区切ってつけましょう。

1段:「ゲームやSNS」「大学ネット悲鳴」「学業支障で制限」

2段:「ゲーム利用 大学制限」「 ネット回線混雑 学業に支障」

1つのセクションのみに着目しながら見出しを読んでみてください。1つだけ読んでも意味が理解できる見出しになっているでしょう。全体でひとかたまりの見出しと考えずに、1行ずつセクションを分けながら文字数に合わせてつけましょう。ニュースとして大事と思える要素を大きな見出しにしてください。

見出しの先頭には、ニュースのキーワードとなる言葉を使うと、見出しをパッと読んで何がニュースかがわかりやすいです。先頭にキーワードを持ってこれない場合は、見出しの別項として新しく見出しをとる必要があります。

例えば「○○大統領就任」「○○優勝」のようなテーマで複数の記事があるときは、一つ一つにこれらの見出しをつけると言葉が重複するので、統一的なテーマ見出しをつけましょう。

また、同じ言葉を2回以上使わない意識も大切です。できるだけ似たような言葉に置き換えましょう。

まとめ

(追記:2017年5月18日リライト)

見出しには正解がないからこそ、オリジナリティの余地がある大切な部分です。どんな新聞を作るにせよ、自分らしい見出しで読む人の心を惹きつける努力が大切です。では、最後に見出しを上手につけられるコツをおさらいしましょう。

  1. 見出しの文頭には記事のテーマとなるキーワードを置く
  2. 1段には1段なりの、2段には2段なりの見出しの組み立て方が存在する
  3. 囲み記事では文字数に制限はないが、面白い(やわらかい)表現が好まれる
  4. 助詞が無くなると別の意味にとられるおそれがないかチェックする
  5. 1つの見出しに同じ言葉は使わない
  6. 見出しが全て漢字になるような付け方はできるだけ避ける

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ABOUTこの記事をかいた人

新聞社の記者をしています。仲間との起業を夢見て、これまでに学んできたノウハウを記しておきます。現在、主に結婚新聞や企業・団体向けの広報紙を制作していますが「こんな紙面をつくってほしい」とのご要望にも随時お応えしています。