スポーツ新聞にそっくりなパロディーの結婚新聞(ブライダル新聞)。新郎新婦がスクープされる芸能人のような気分になりますし、手に取る出席者も目を引く見出しに見入ることでしょう。
そんなパロディーの結婚新聞の自作に挑戦してみたいと思う方は多いと思いますが、クオリティーを最も左右するのは、ロゴの完成度です。
スポーツ新聞のロゴを作りたいけれども、どう作ればよいかわからないあなたへ。
今回はスポーツ新聞の雄である「日刊スポーツ」のロゴにどこまで似せられるのか、過程を紹介しながら作り方を紹介していきます。
※ロゴ作りはアドビ社のソフト「イラストレーター(Illustrator)」が必須です。
Contents
フォントは「サンセリフ」を選択
日刊スポーツのロゴに近づくには、最初に最も近いフォントを選択しなければなりません。
いろいろと試行錯誤した結果、私が最も近いと思ったフォントは「G2サンセリフ」です。太さは最も太い「U(初期状態はB)」を選択しましょう。
サンセリフは線が極太で力強さがありますが、線が水平・垂直で適度な丸みも感じられます。並べてみると、何も加工していなくとも似ていることがわかります。平行棒のような「ニ」、丸みをおびた「ツ」や「ン」はそっくりですよね。
文字をつぶして色をつける
ニッカンロゴは横につぶれた形をしているので、文字をつかんで圧縮しましょう。
図のように圧縮をかけたら、文字に色を塗ります。塗りの色は日刊スポーツの象徴である「ニッカンブルー」。スポイト機能を使って実際のロゴの色を検出したところ「C(シアン):80%、M(マゼンタ):40%、Y(イエロー)10%、K(ブラック)0%」であることがわかりました。
文字をさらに太く、斜体にする
塗りを終えた文字と実際のロゴを比較すると、文字はまだまだ線が細いことがわかります。
そこで「ダイレクト選択ツール」を使い、文字を部分的につかんで太くしていきます。その際には、文字のグループは全て解除しておき、部分的につかめるようにしておきましょう。
よく見ると、デフォルトのサンセリフフォントは「ツ」の文字が斜め左上を向いていますが、ロゴは垂直に近い形です。ダイレクト選択ツールで曲がりを修正してもよいのですが、効率的につくるのなら縦長の長方形を二つ並べることをおすすめします。
文字がロゴの太さに近づいたら、文字を右に傾いた斜体に変えます。使用するツールは「シアー機能」です。文字を全て選択したら、右に向かって軽く伸ばしましょう。すると、文字が微妙に斜体がかります。
また、ロゴをよく見ると、文字の右上端がとがっている部分が確認できます。角の少し下にパスのアンカーを追加(Shift++)した上で、角のアンカーを右に軽く引っ張ると、ちょっとだけとがった部分が完成します。
パスのオフセット(1回目)
斜体をかけたら次はフチをつける作業に移ります。その前に、一つ大事な作業である「複合パスの作成」をかける必要があります。文字を全選択したら「オブジェクト→複合パス→作成(⌘+8でも可能)」をかけてください。
複合パスをかける理由は、隣り合う文字のフチを「合体」させるのが目的です。複合パスをかけないと、フチが隣の文字にかぶって一体感のないロゴになりますので必ずかけましょう。
文字にフチをつける方法はさまざまな方法がありますが、今回使用するのは「パスのオフセット」です。
文字を選択したまま「オブジェクト→パス→パスのオフセット」を選択すると、詳細入力画面に移ります。オフセット(フチの幅)は3mm、角の形状はベベル、角の比率は1にして「OK」を押すと、塗りの色が外側にはみ出るようにフチが作成されました。
ちなみに、塗りとフチ部分はそれぞれ独立しており、文字の塗りの下にフチの幅分が広がった文字が重なっていると考えると想像しやすいでしょう。
ここで、ロゴに従いフチの色だけ白色に変えてみました。
パスのでこぼこした部分をそろえる
文字にフチがついたところで、さらにパスのオフセットをかけてニッカンブルーで色つけをすれば、日刊スポーツのロゴが完成…と言いたいのですが、実はこれではロゴとしては不完全なのです。
なぜなら、白いフチ文字は角が台形のようになったり、「ツ」の上部分のフチについたパスは直線でなければならないのですが、微妙にでこぼこしていますよね。このままさらにパスのオフセットをかけると、でこぼこはさらに強調されてしまいます。
この問題を解決するには「ダイレクト選択ツール」の力を借ります。でこぼこしたパスを直線に変えるには、へこんでいるアンカー(点)を選択して水平になるまで引っ張るか、へこんだアンカーをいったん削除してから両端のパスを同時選択(Shiftを押しながらクリック)して、パスを連結(⌘+J)させましょう。
台形のような角を直角にするにしても、形を構成しているどちらか一方のアンカーを角に対して垂直になるまで引っ張るか、先ほどと同様に一方のアンカーを削除して、もう一方のアンカーを伸ばしてパスを連結させる方法もあります。
この作業はロゴの完成度にかなり影響を及ぼすので、実際のロゴを観察しながら丁寧にアンカーを処理しましょう。
パスのオフセット(2回目)
フチ文字が滑らかになったところで、白いフチを選択したらもう一度「パスのオフセット」をかけて、二重のフチを完成させます。
2回目のオフセットは、1回目よりも短くした方が上品に仕上がるでしょう。
2回目のオフセットによってついたフチには、文字の塗りと同様に「ニッカンブルー」に染めてあげましょう。
塗り文字の背面に影をつけて完成
もう雰囲気はほぼ日刊スポーツのロゴそのものです。しかし、大事な「スパイス」を一つだけ忘れています。それは「影」をつけることです。
最近のスポーツ紙見出しは少しずつ進化を遂げており、凸版見出しを立体的に見せようと、塗り文字とオフセット文字の間に影をつけています。
目を凝らしてロゴをご覧ください。うっすらと濃い色で影が映っているのがおわかりでしょうか。この効果はどのようにつけるのかというと「文字のコピー+背面ペースト」を組み合わせて実現させます。
まず、一番上に重なっている塗り文字のみを選択します(フチは選択してはいけません)。ここで文字をコピー(⌘C)をして、続いてコピーした文字を塗り文字の背面にペーストさせます(⌘B)。
背面ペーストを行った直後の状態は、塗り文字と二重になっているため存在がわかりませんが、ここから矢印キーを右方向と下方向に1~2回、ちょんちょんと押してみると、文字の移動が確認できるでしょう。
最後に移動した文字に濃いめのブルー(シアン90%、マゼンタ80%、イエロー30%、ブラック0%)を指定すると、ニッカンロゴの完成となります。
スポーツ報知やスポニチのロゴも作ってみた
追記:2017年4月27日
日刊スポーツだけでは物足りなくなってきたので、他の有名スポーツ新聞のロゴも作ってみました。制作したのは、スポーツ報知とスポニチです。
ニッカンでは打ち込んだ文字を加工して作りましたが、今回の2紙は似ている文字が見つからなかったので、主にパスでロゴをなぞって書きました。
パスのオフセットなどの手順はニッカンと同じです。
著作権法にひっかからないようにパロディー化
有名スポーツ新聞の題字ロゴがここに完成しました。厳密には甘い部分はたくさん見られますが、この辺で勘弁してやってくだい(汗)。しかし、このままロゴを使用したら、間違いなく著作権法違反となります。
この問題を避けるため、スポーツ新聞風の結婚新聞を制作する業者さんは「ケッ○ン」や「ニッ○ン」などとロゴ必ずパロディー化させています。
当サイトが普段作っている結婚新聞は、こうした「ロゴの力」にはあえて頼らず、フリーレイアウトによってクライアント様の特徴に合ったきれいな紙面を目指しています。一方、このようなパロディー紙面も当サイトでは自由自在に作れます。
当サイトの制作品に興味がある方は、過去の作品をお見せすることができるので、お問い合わせページからお気軽にアクセスしてください。
コメントを残す