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新聞づくりのプロから見て、おしゃれと思える結婚新聞とはどんなデザインなんだろう?

この記事は、結婚新聞の選び方に迷っている方や、自分で手作りしようと思っている方に向けて書いています。

「新聞離れ」という言葉が定着して久しいこの時代、あなたは新聞を読んでいますか? これからご自身で結婚式に向けて新聞を作ろうとしていたら、新聞を読んでいない方が新聞デザインの良し悪しを語ることはできるのでしょうか。また、業者に依頼するにしても、作品のクオリティーをどのような点から見極めたらよいかご存知でしょうか。

「クオリティーが高い」と思える新聞の定義は人それぞれで、あって無いようなもの。しかし、その逆は確実に存在します。そこで、今回は「こんな新聞レイアウトは避けたい」と思える代表例を新聞づくりのプロの視点からいくつかご紹介します。オリジナルの新聞作りや結婚新聞を依頼する業者選びの参考にしてください。

Contents

記事の中身が見出しに反映されていない?

テンプレートの結婚新聞レイアウト(スポーツ新聞型のダミー)

某業者がデザインしたスポーツ紙風結婚新聞を「あなたの新聞」が真似して作ってみた

「結婚新聞」などと検索してこのページにたどり着いたあなたは、今までにいくつかの業者のサンプルや、個人が自作した新聞作りのノウハウを目にしてきたことでしょう。思い出してみてください。今まで閲覧してきた作品は、どのようなレイアウトをしていましたか。ひょっとして、上図のようなレイアウトではありませんでしたか?

私が問題にしたいのは、レイアウトよりも見出しです。「スクープ」「徹底取材」「衝撃の事実」「独占インタビュー」…名前とともにこんな見出しがデカデカと載っていませんでしたか。

ユーザー
これって、ふたりの内容について何も見出しになっていないよね

前段落で挙げた見出しは、誰にでもいえる表現ですよね。裏を返せば、新聞の依頼が来た全員に同じ見出しをつけても問題がない。つまり、記事の中身を見て見出しをつけていないということですよね。

「あなたの新聞」が作った日刊スポーツ風の結婚新聞レイアウト

「あなたの新聞」が作った日刊スポーツ風の結婚新聞レイアウト

私が友人、他人を問わず結婚新聞を作るようになって感じたのは「既存のサービスは、同じひな型(テンプレート)を使い回しているのではないか」ということです。

実際、当サービスを通じて新聞を制作された方の声として多かった同業他社への不満は、以下の内容です。

東京都28歳
内容が薄く、自分で作成できそうなクオリティーばかりでした(実際はできませんが笑)

あなたが結婚新聞業者、または新聞制作業者選びに迷っているのは「どこの業者も似たような、ダサい作品に見える」ということなのではないでしょうか? 商売の効率性を重視する業者は、紋切り型のテンプレートを多用しているという点を覚えておきましょう。

新聞の題字を隠したら、どれも同じに見える?

Illustratorで作成した日刊スポーツのロゴ

日刊スポーツの題字を見ながら筆者がIllustratorで作成したロゴ(注:そのまま新聞に使うと著作権違反となります)

スポーツ新聞風に見せる業者の結婚新聞は、大手スポーツ紙のパロディーのような題字がおどっていませんでしたか。パロディー新聞を作ってもらいたくて依頼するという型もいますから、これに関しては否定はしません。著作権を違反しない範囲で多いに展開してほしいと思います。

しかし、題字の力ってすごいですよね。パロディーとわかっていても「あっ、毎日新聞っぽい、東スポっぽい、スポーツ報知っぽい、デイリースポーツっぽい」と思えてしまいます。でも、題字を隠してみたらどうでしょう。

依頼者
題字を抜き取ると、どの紙面も同じようにみえるなあ…

題字は新聞の「顔」です。私たちは題字だけで新聞の特徴や性格のようなものを瞬時に判断して買っています。ある意味「題字の力」というブランドで新聞を買っているのです。業者や自作する人がパロディー新聞をつくりたがるのは、自分たちがイチから新聞を作ろうとしても、そこにブランドが感じられない、またはブランドとして売り出せる自信がないと言い換えることができます。

私が考えるブランド感のあるオリジナル新聞は、余計な細工が一切ないシンプルな中にもスタイリッシュさを感じることができたり、または写真の切り抜きや凝った見出しなど細部までしっかり作り込んであったりする作品です。好きな一般紙、スポーツ紙の風合いを真似したいから選ぶのも選択肢として正しいですが、「首」をすげ替えただけの新聞になっていないかどうか見極めましょう。

素人丸出しの見出しがついている?

プロの新聞制作者から見て、最も腹がたつのは見出しが下手なまま売り物にしている新聞です。

グーグルの検索でトップに出て来る某業者の見出し(一般紙タイプ)は、横凸版で結婚するふたりのフルネームだけ登場。補完する4段の見出しのメーンは「5年の交際の末遂にご成婚」、サブには「平成○年○月○日ゴールイン」とあります。この見出しには新聞製作において、3つの間違いがあると私は思いました。

横凸版:新聞新郎さん、新婦さん

4段見出し:5年の交際の末遂にご成婚、平成○年○月○日ゴールイン

私なら、この見出しを以下のように組み立て直します。

横凸版:新郎さん、新婦さん結婚

4段見出し:交際5年 夫婦の誓い、○年○月○日ゴールイン

まず、メーンとなる横凸版の見出しが名前だけというのはありえません。「新郎新婦が結婚した」という点がニュースならば、「新郎さん、新婦さん結婚」とするべきでしょう。見出しというのは、どれか一つだけ読んでも意味が通るようにできていなければなりません。名前だけ並んでいても、それが何を意味するかが他の見出しを読まなければ理解できないというのは、もはや見出しではなく文字でしかないのです。

新聞見出しをつけるコツを伝授

2016年2月7日
新聞見出しのフォント、字数の関係性

【新聞の作り方】見出しの形と大きさの基本を学ぶ

2016年2月7日

4段見出しの方は、見出しの文字数が問題です。メーンとサブに分かれた縦型の見出しは、通常であればメーンは9文字以内、サブは11文字以内が美しいとされています。ところが、業者が作った見出しはメーンが12文字、サブは13文字あります。本来、このような見出しの形は左上から右下に向かって突き出る形(業界ではチドリと呼んでいる)が美しいとされていますが、メーン見出しの文字数が多すぎるため、下部が重くなってしまい美しくありません。見出しの文字数を減らすのであれば、私なら「交際5年、夫婦の誓い」という風につけます。これなら「新郎さん、新婦さん結婚」の横凸版とも見出しの内容がかぶりません。

交際の未遂にご成婚?

決定的なのは、パッと見て見出しで勘違いを起こしてしまう可能性が高いことです。えっ、何が違うんだと思ったあなた、漢字をよくお読みください。

  • 「交際の末遂にご成婚」
  • 「交際の未遂にご成婚」

前者は「こうさいのすえついにごせいこん」、後者は「こうさいのみすいにごせいこん」。後者の見出しではおめでたいムードが一気に冷めてしまいます。「末」と「未」は非常によく似ているので、使わないのがベターですし、止むを得ず使う場合は句点や漢字の間に空きをいれれば読みやすくなります。

短い言葉で文章のエッセンスを切り取る見出しは、日々訓練を積んでいる人でなければ上手につけることは難しいでしょう。見出しをまともにつけることのできない「新聞の素人」に制作を依頼しないように気をつけましょう。

あらかじめ入れる内容が固定されている

スポーツ新聞風に作った2つの結婚新聞

同じ素材を元に、スポーツ新聞風に作った2つの結婚新聞。どちらの方がオリジナル感を感じますか?

結婚新聞の制作を取り扱う業者の多くは、紙面構成がA3サイズの裏表となっています。表面はふたりのプロフィール、半生のエピソード、裏面は出会いやプロポーズまでの道のり、ゲストへのメッセージ…って、なぜ文章を入れるスペースやコンテンツが指定されているのでしょうか。

まるで、紙面のスペースがあらかじめ固定されているようです。裏面にプロフィールを入れては何かまずい事情があるのでしょうか、出席者が最も気になるであろうふたりの出会いは最初に読まれたくないの理由でもあるのでしょうか。

ユーザー
新聞を作りたいカップルの意見よりも、紙面の内容ありきになっているような気がする…

これこそテンプレートで作る結婚新聞の最大の欠点です。プロフィールやエピソードの他にも入れたい内容があったらどうするのでしょう。制作業者は「スペースの都合で入れることができません」とでも答えるつもりなのでしょうか。主役は新聞ではなくカップル。入れたい内容を入れたい場所に入れられる仕組み、つまりイチからカスタマイズできる紙面こそ、自由度の高い紙面といえるのではないでしょうか。

当サイトでは、以前依頼を引き受けたカップルから「新聞の縦読みメッセージ」風のコンテンツを作ってほしいと頼まれて、専用のコーナーを作りました。記事はおふたりで考えて提稿してくれ、私はコンテンツを作りながら面白い試みだなと感じました。

縦読みテレビ欄の結婚新聞バージョン

新聞縦読みメッセージを結婚新聞でもやってみた

2017年2月2日

世界で一つの結婚新聞を作りたいと思う熱意はみんな同じ。お金を払って作る情熱があるなら、なおさらです。できあいのテンプレート新聞では、お客様の「こうしたい」に100%応えられる余地がありません。載せたい内容は業者が指定するのではなく、新聞をつくる「依頼者ファースト」でなくてはいけないと私は強く思います。

行空きスペースは恥ずかしい

「オリジナル記事でふたりのことを知ってもらおう」「専門ライターが取材記事風に書きます」。とある業者の宣伝文句にはこのような「強み」が書かれています。紙面はウェブでサンプルを確認することはできますが、記事の中身までは拝見することができないので内容まではわかりません。

しかし、一つだけはっきりしている問題がありました。それは、無駄な行空きスペースです。記事の最後に2〜3行、空白となってる部分が見えました。日々新聞を製作している視点から見て「これはカッコ悪い」と嫌悪感を抱きました。

ユーザー
お金を払っているんだから、文字スペースは最後まで埋めてほしいよね…

「取材は10を聞いて1だけ記事にする」という姿勢で臨むものだと会社では先輩から学びました。ふたりの生い立ちやふたりで過ごした日々は、本来ならA3の裏表だけで書き切れるはずがありません。多すぎて、むしろ原稿は削るくらいだと思います。

では、最初の宣伝文句を思い出しましょう。「専門ライター」は、新聞の空き行を埋められないほどしかふたりのことを取材していないのでしょうか。紙面だけでは収まりきれないほどの文章量で、削らなければいけないのに、後ろに空きスペースができるというのは、うすっぺらい取材しかしていない何よりの証拠。また、空きスペースを見出しや写真を大きくして隠すことも不可能ではありませんが、サンプルを見た限りではそれもしていない。

いくらでも紙面を埋める手段はあるのにそれさえもしないのか、それともできる能力がないのか。いずれにしろ、行の空きスペースがあるというのは恥ずかしいことであって、それをサンプルとして放置している業者は新聞の作り方を知らないと言えるのではないでしょうか。

ちゃんとした「新聞」をつくる業者を選ぼう

細かいことを言えばキリがありませんが「これは許せない」と思えた新聞ルールの5つの誤りについて書かせていただきました。新聞に詳しくない方なら見過ごしてしまうような小さなことかもしれませんが、わざわざお金を払って新聞を作るカップルへの敬意に欠けているテンプレ業者は見過ごせません。

  • 真っ白な状態から紙面に入れるコンテンツを作ってくれる
  • パロディー新聞は題字を隠してもオリジナル感が出せるか
  • 記事の内容から見出しをつけてくれるのか
  • 新聞ルールに則った見出しをつけることができる
  • 空き行を作らない編集意識

これらの条件を満たしている業者を選び、出席者に自慢できるハイクオリティーな新聞を作ってもらいましょう。

スポーツ新聞風に作った2つの結婚新聞

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ABOUTこの記事をかいた人

新聞社の記者をしています。仲間との起業を夢見て、これまでに学んできたノウハウを記しておきます。現在、主に結婚新聞や企業・団体向けの広報紙を制作していますが「こんな紙面をつくってほしい」とのご要望にも随時お応えしています。