新聞のクオリティーを大きく左右する「写真」。結婚新聞の制作依頼を受けて送られてきた写真を見ると、プロに撮影してもらった写真かそうでないかは一目でわかってしまうものです。良い写真とは被写体に「動き」があるか、場にふさわしいポージングができていることでしょう。プロの写真に近づくために、新聞に掲載されている写真からポージングを学びましょう。
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写真のプロは構図にこだわる
私はプロのカメラマンではないのですが、結婚新聞を作る際に取材だけでなく写真撮影をすることもあります。記者時代はカメラにもこだわる方で、撮影にも力を入れてました。
私が撮影時に最も気をつけていたのは、写真の「絵作り」です。小さなファインダーの中に、被写体と背景をどう配置すれば写真のクオリティーを高めることができるか、構図を考えながら撮影していました。
「絵作り」と聞くと、なんだか自作自演ぽい響きがありますよね。「ありのまま、自然体な姿を撮影してほしい」と思っている方もいるのではないでしょうか。そう思う方は、以下の写真をご覧ください。
屋外で建物の手すりにもたれかかるようにポージングしている男性は、嵐の二宮和也さんです。もたれかかり方といい、流し目といい、カメラマンの腕もさることながら、二宮さんもトップアイドルらしい「撮られ方」を熟知しているなあと感心してしまいます。
では、みなさんはご自身が撮影される際に、このようなポージングをしますか?おそらく、ほとんどの人はしないでしょう。そう、ポージングは新聞社のカメラマンが、取材場所を利用して何かできないかとポージングを考えて、構図通りになるよう指定しているのです。
よくあるダメな写真例は「直立不動」
一般人の撮影でありがちなのは「直立不動」。つまり、ポージングをしないことです。結婚新聞で送られてくる写真にもよく見られるのですが、ふたりがただ立っているだけの写真は面白さや華やかさがないんですよね。
とはいえ、先に登場した写真は、嵐の二宮さんのような撮られ慣れている方だからこそできるポージングだと思います。では、クオリティーの高い写真を撮影するために、変わった姿勢をすればよいのかといえば、そうとは言い切れません。その人のキャラクターに合ったポージングが求められるのであり、カメラマンはそれを探りながら撮影しているのです。
身振り手振りで写真に動きが出る
プロのカメラマンでなくても、プロっぽく見える写真を撮影するにはどうすればよいか。最も簡単に実践できるテクニックは「身振り手振り」をしてもらうことです。
身振り手振りを収めた写真は、インタビューの場面などによく見られます。インタビューの最初から最後まで一度も姿勢を崩さない人はほとんどいません。物事を説明する際には、身振り手振りなどジェスチャーをすることがありますよね。それを再現してもらうのです。
ただ、写真を撮られ慣れていないせいか、撮影時に動きが硬いという方はたくさんいます。そんな方には「身振り手振りを加えながら会話をしているフリをしてください」と声をかけてみましょう。身振り手振りは気持ち分大げさにしてもらうと動きのある写真となります。
ポーズが硬い人には「手首を軽くつかむ仕草」が有効
また、身振り手振りをしながらしゃべるのが苦手という方もいるかもしれません。そんな時におすすめしたいのは、手首を軽くつかんでもらう仕草です。腕はどちらでもよいのですが、胸のあたりまで腕を上げて、腕時計を軽く触るようなポーズをとるだけでも、そこそこ絵になります。私はポーズ作りに困ったら、いつもこれをやってもらいました(笑)
バリエーション豊かな写真のポージング
新聞社のプロカメラマンが撮影したポージングを集めてみました。撮影場所など条件が同じでも、ポージングや構図の作り方でバリエーション豊かな写真が撮れるということを学びましょう。
今回題材にしたのは、朝日新聞の芸能人による高校野球観戦記(2017年)です。
1枚目の写真は、元体操選手の田中理恵さん。甲子園の高い場所から球場を見下ろすロケーション。印象的なのは、真正面ではなく振り向くようなポージングです。甲子園の開催期間中は毎日掲載されていたので、被写体が常に真正面を向いていると、マンネリ化しがちなので、あえて振り向いてもらうようなポージングを選んだと推測できます。
2枚目の写真は、人気漫才コンビ・ナイツの塙さん。こちらは二宮さんの時と同様に手すりにつかまっている。撮影場の構造物を利用して撮影するというのも一つの手だが、初心者には難しいかもしれません。
3枚目の写真は、「あまたつ〜」でおなじみの気象予報士・天逹武史さん。気象予報士なので空を背景にしたいというカメラマンの意図が読み取れる。手を広げてもらうことで、天気の良さと場内のにぎやかな空気を楽しんでいるかのような構図も醸し出せている一枚です。
後半の1枚目は、プロ野球・横浜DeNAの元球団社長、池田純さん。他の写真と比較するとポージングがありません。敢えてポージングをとらなかったのかどうかはわかりませんが、ポージングの代わりに球場で何かを語っている姿が球団社長という肩書きを物語っているかのようにも見えます。
2枚目は元プロ野球選手の安仁屋宗八さん。観客がいない甲子園のスタンドに一人だけで立っている姿が印象的。目を閉じているかのような姿に、「聖地」で何を思っているのでしょうか。読者の想像をかき立てる写真だと思います。このような写真は、真正面ではなく横から撮影しているのは、スタンドのガラガラ感を出したいとの思惑が読み取れます。
3枚目は、プロ野球・阪神元監督の和田豊さん。カメラマンが腕組みの「ポージング」をお願いしたのかどうかは定かではないが、球場を見つめる姿に阪神の監督時代の姿をダブらせた方もいるでしょう。
ここまでの写真を振り返ると、カメラマンは被写体のキャラクターを見極めながらポージングをしていることが読み取れる。逆に、同じ背景でポージングをせずに直立不動状態だったら、どのような印象に変わるでしょうか。おそらく「絵」にならなかったでしょう。
良い写真を撮るために「気恥ずかしさ」を捨てよう
これは結婚新聞にもまったく同じことが言えます。ポージングの有無は、写真の見栄えに大きくかかわってくることを撮影者や撮られる方は十分に意識することが大切です。
ポージングをする上で、大事なのは撮られる側の心構えも大事。撮影に慣れていないとどうしても動きが硬くなりがちです。プロのカメラマンは、被写体の緊張感をほぐすテクニックを心得ていますが、アマチュアや初心者ではコントロールが難しいものです。
ポージングはオーバーリアクションなくらいがちょうど良い
撮影に臨む側として、いい写真を撮影してもらうためにも、気恥ずかしさは捨てましょう。少しオーバーリアクションなぐらいが、ちょうど良いくらいです。
お笑いコンビ「ますだおかだ」の岡田さんの宣材写真が良い例です。「ワオッ」と手を広げて明るい笑顔を振りまいている姿が想像できます。ポージングとしては一般人がやるには少々オーバーリアクションな感が否めないですが、写真で見ると不思議と違和感がありません。むしろ、芸人のキャラクターとして印象を与えるにはこれぐらいがちょうどよいのでしょう。
もちろん、一般人と芸人の差はあるものの「芸能人みたいな風に撮られたい」と考えて撮影に臨む方には、普通よりも過剰なぐらいのジェスチャーをしたほうが「撮れ高」は高いのです。
記念となる一枚をより満足できるものにするためにも、撮影側と撮影される側が協力し、楽しみながら撮影をしましょう。ポージングに悩んだら「あなたの新聞」の過去作品を参考にしてもよいでしょう。
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