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内閣府の試算によると、2020年度の基礎的財政収支(国と地方の合算)は8.2兆円の赤字になるという。これまで政府は20年度には基礎的財政収支の黒字化を目標に掲げてきたが、赤字の縮小幅はわずかにとどまるため達成は絶望視されている。

7月19日付けの読売新聞では1面を中心に詳しく解説されていたため、新聞社の筆記試験で重要視される可能性がある。国の財政状況を知る上で重要なキーワードとなる基礎的財政収支について、読売の紙面を中心に利用してまとめてみた。

基礎的財政収支とは?

基礎的財政収支について、読売新聞では以下のように解説している。

基礎的財政収支

社会保障や公共事業といった制作に必要なお金を、国や地方自治体に入ってくる税収などでどれだけ賄えているかを示す指標。赤字が大きいほど国債(借金)への依存度が大きく、財政が悪化していることを示す。プライマリーバランス(PB)とも呼ばれ、財政健全化の目安となる。内閣府が年2回、最新値を試算している。

要するに、借金に頼らず制作にかかる経費を自前でどれほど賄えているか、という指標なのだ。政府としては2020年度にこの指標を黒字化させること、つまり国債に頼らずに社会保障や公共事業を実行できるようになることを目標としていた。しかし、今回の発表によって達成が困難であることが明確となったのだ。

基礎的財政収支が注目される理由

基礎的財政収支の黒字化が達成できないのであれば、目標値を下げたり期限を先延ばしにすればよいのではと思った方も多いだろう。しかし、実際はたやすく変更することができない事情がある。

その事情とは、基礎的財政収支の20年度黒字化は、事実上の国際公約となっているからだ。背景として、民主党政権時代だった2010年に、今後10年間の財政運営の道筋を示すため、20年度の黒字化を閣議決定していたことが挙げられる。この目標はG20で表明したことにより、黒字化は日本の国際公約となってしまった。

民主党から自民党へと政権交代はあったものの、目標は変えられずに達成に向けて動き続けてきた経緯がある。

20年度の赤字額8.2兆円、黒字化は困難

基礎的財政収支の見通し表

基礎的財政収支の見通し表(読売新聞より)

赤字8.2兆円という数字にピンとこない方もいるだろうが、これは国の税収(16年度は55.5兆円)の15%にあたる額だ。

借金に頼らない「経営」をするため、政府は財政再建と経済成長の両立を目標に掲げている。景気を浮揚させることで税収を上げ、市民の生活が富むことで生活保護費などの歳出も減るという青写真を描いてきた。

しかし、この青写真は実生活に近い名目経済成長率が2%台後半から3%程度というバブル期並みの水準でなければ達成できない試算だった。現在の名目経済成長率は1.1%(16年度)と、理想とは大きくかけ離れている。

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「給料」だけでは暮らせず「借金」続き

基礎的財政収支は国の歳入と支出のバランスを理解する上でわかりやすい指標となる。税収が思うように伸びず、高齢者福祉などの社会保障や防衛費、景気対策のための公共事業費が一方的に増していく現状では、抜本的な改革がない限り赤字が続くのは誰でも理解できるだろう。

毎月の給料だけではやっていけない「日本家」が、足りない分を穴埋めするために、カードローンや消費者金融でお金を借りてずっとやりくりしているようなものだ。

2017年1月時点での試算(8.3兆円の赤字)と比較すると、今回は赤字額が0.1兆円縮小されている。とはいえこの額は焼け石に水で、成長率が現状の1%程度のままだと、20年度の赤字幅は10.7兆円に拡大する。

とはいえ、期限まで残り3年でこの縮小幅では目標の達成も難しいだろう。公約達成への抜け道としては、20年度だけ大幅に支出を切り詰めることで黒字化にすることで、前年までがどんなに大赤字をしても公約は理論上「達成」できたことにはなる。

目標の切り替えも視野に

世界に向けた事実上の公約となってしまった基礎的財政収支の黒字化だが、ここにきて指標の切り替えがうわさされている。特に注目されているのは、米国など世界でも広く普及している「名目国内総生産(GDP)に対する債務残高比率の引き下げ」だ。

名目GDPに対する債務残高比率

名目GDPに対する債務残高比率(読売新聞より)

平たくいえば、国の経済規模(名目GDP)に対する借金の割合を意味している。経済成長を遂げることでGDPが増えれば、債務残高が変わらなくても比率は下がっていくことになる。国際通貨基金の推計では、日本の債務残高比率は240%だが、内閣府の試算では数値は少しずつ減少しているという。

しかし、景気浮揚をするため国債を使いGDPが増えてたとしも債務残高も増えていく。GDPと債務残高の伸び幅の違いから比率は低くなるけれども、結局債務残高が増えていくという構図は変わらないことから、見かけ倒しの財政再建になりかねないとの指摘もある。

まとめ

8.2兆円という基礎的財政収支の赤字幅は、19年10月に実施される予定の消費増税も含んだ上での数値だ。増税はこれまで2度延期されているが、3度延期する事態となれば、赤字幅はさらに広がるだろう。

基礎的財政収支ではなく、名目GDPに対する債務残高比率を目標として切り替える案も浮上しているが、国債を使って景気を浮揚できたとしても、債務は増えるので財政再建をしたことにはならない。経済成長の甘い見通しから3年後の黒字化は極めて困難となったが、目標を延期するのか、それとも工夫の余地は残されているのか。期限を前に議論が求められている。

基礎的財政収支が黒字化できている国はどこ?

日本以外の国は基礎的財政収支が黒字化できているかどうかという疑問を抱いている方もいるだろう。2016年では程度の差こそあれど、アメリカやフランスは赤字、ドイツやイタリアは黒字だった。

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新聞社の記者をしています。仲間との起業を夢見て、これまでに学んできたノウハウを記しておきます。現在、主に結婚新聞や企業・団体向けの広報紙を制作していますが「こんな紙面をつくってほしい」とのご要望にも随時お応えしています。