【2017年新聞社筆記試験予想テーマ】天皇陛下退位に関する議論

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新聞各社が2016年の日本重大ニュースの1位として取り上げたのが、天皇陛下の退位についてのニュースです。

端的に言えば、天皇が生前に皇太子殿下へ譲位するご意向がある、という話ですが「わかりました、そうしましょう」だけでは済まないのが社会の仕組みです。皇室典範が天皇の生前退位を認めていないため、これを改正する必要があるからです。その議論が急ピッチで行われているのですが、試験に出そうな論点を簡単にまとめておきました。

※退位の特例法は2017年6月2日に衆院本会議を通過しました。この時点で特例法はまだ成立していないため、17年春の試験では出ない可能性があります。

なぜ退位のご意向を示されたのか

天皇陛下の退位をめぐる経過表

天皇陛下の退位をめぐる経過表

そもそも、なぜ天皇は退位のご意向を示されているのか、という疑問を持つ方もいるでしょう。

これは今までがんや心臓の手術を受けてきたという健康不安と年齢に見合わない公務負担の重さが一因とされています。

退位への思いは数年前から抱いていたとされ、2015年の天皇誕生日でも、会見でふさわしい務めを果たせる者が天皇としてあるべきとのお考えを示しています。これが、16年7月の一報、そして8月のビデオメッセージへと繋がったわけです。

皇室典範を改正する必要がある?

ただ、簡単に皇太子へ天皇を譲位できるかといえば、そうはいかないのです。

皇室典範では第1章第4条に、以下の記載があります。

第四条

天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。

つまり、現状は天皇は崩御しない限り皇嗣(皇位継承1位の皇太子殿下)に位を譲位することはできないのです。

退位に関する法は今の皇室典範では整っていないため、新たに法整備をする運びとなったわけです。

退位に関する法がなかった理由

では、なぜ皇室典範は今まで退位に関する法整備をしてこなかったのか、ということになります。

皇室に関係する主な法令

皇室に関係する主な法令(朝日新聞より)

 

もちろん、昭和天皇の時代も高齢となった際に退位に関する議論は国会で出てきました。しかし、当時の宮内庁の答弁としては、以下の憂慮があったと理由を挙げています。

  • 退位を認めると上皇と天皇という権威の二元化による弊害が発生する
  • 天皇が強制的に退位させられる、または恣意的(気の向くまま)な考えで退位する

憲法4条という壁

また、天皇が退位の意向を示されても、お考えが出た当時、当時の報道では政府側からは「無理だ」という声が出ていたそうです。

なぜか。それは、憲法4条という高い壁があるからです。

第四条

天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

上の条文を端的に表すと「天皇は国政に口出ししてはいけないよ」という強いルールがあります。天皇の退位したいという意思によって国政が動き、退位が可能となる。これは憲法4条に違反する可能性があったからです。

特例法という形をとった理由

憲法改正は国会で衆参議員の3分の2以上の賛成があり、かつ国民投票で過半数の支持があって初めて実現となります。憲法の改正には非常に高いハードルもあり、議論や時間もかかることが予想されます。一刻も早い退位を実現させたい一方で時間がかかるのは好ましくありません。

一方、皇室典範皇室典範は憲法の下位法にあたるため、衆参両院の過半数の賛成で可決、成立と法律の改正と同じルートをたどるため、憲法よりはるかにハードルが下がります。しかし、先にも述べた「恣意的な譲位」が懸念され、譲位の要件(年齢や職務遂行能力の程度など)を明確に定めるのは難しかったのです。

そこで行き着いた答えは、終身在位という原則を変えずに、今回の代限りのみ譲位を認める「特例法」をつくることになったのです。

特例法の主な内容

退位特例法(正式名称:天皇の退位等に関する皇室典範特例法案)のポイントは、以下の3点です。

  1. 一代限りの特例法であるということを強調するため、第一条に退位に至る事情を記載している
  2. 天皇は退位後に上皇となり、皇后は上皇后となる(第3条第1項、第4条第1項)
  3. 皇室典範付則に「この法律の特例として天皇の退位について定める天皇の退位等に関する皇室典範特例法は、この法律と一体を成すものである」との規定を新設するものとする(附則第3条)
  4. 天皇誕生日が12月23日から2月23日になる
  5. 特例法の施行日(退位の日)は、公布から3年以内に皇室会議などを経て定められる

3点目にある「特例法は皇室典範と一体を成す」という付則によって、「皇位継承が皇室典範に定めによる」という憲法第2条に対する違反の疑いが生まれないようにしています。

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名目上は一代限りの特例法とされていますが、2017年6月1日に開かれた衆院議員運営委員会において菅義偉官房長官は、退位特例法案が、次代以降の天皇が退位する際の「先例となり得る」と答弁しています。今回成立するであろう退位特例法は、次回も同様の特例法を制定することで同じように可能となる、という認識を示したのです。

女性宮家に関する議論

女性宮家の創設検討を盛り込んだ衆院議員運営委の付帯決議文(中日新聞より)

女性宮家の創設検討を盛り込んだ衆院議員運営委の付帯決議文(中日新聞より)

天皇の退位とともに皇族の大きな課題となっているのは、皇族の継承問題です。

最近では秋篠宮さまの長女、眞子さまの婚約報道もあり、皇族の減少が危惧されています。今後も皇族が安定的な継承をするために、女性皇族も結婚後も残る「女性宮家」の創設が検討されているのです。

今回の天皇の退位特例法案をめぐって、衆院議員運営委では女性宮家の創設の検討を盛り込んだ付帯決議文が採択されました。

女性宮家の創設をめぐっては、民進党が積極的な姿勢を示しており、慎重な姿勢を示している自民党は今回の付帯決議で明記したことで配慮を見せる形となりました。

毎日新聞が皇室に関する連載

毎日新聞は退位特例法案に関して2017年5月下旬から連載をしています。退位法案の理由に「国民の理解」を挙げていることにからんで、皇室と社会の関わりについて書かれています。こうした連載を書いているということは、毎日新聞社として退位特例法に注目をしている証しであり、試験でも出る可能性が非常に高いことを意味します。

新元号について

(追記:2017年6月29日)

皇太子さまが即位された時に変わるのが「元号(年代を表す言葉)」で、平成の次にあたる元号がいつ変わるのかについても注目が集まってます。

スケジュールとしては、新たな元号は2018年夏頃に公表される見通し。現状では2パターンが想定されていて、1つ目は2019年1月1日案。もう1つは2019年4月1日案です。なぜ夏頃の発表なのか。それは、硬貨やカレンダーの準備に期間が必要とされているためとされています。

 

そして、元号の選び方ですが、学者が出した候補案の中から内閣が決めるそうです。元号は漢字2文字であること、国民の理想に近いことなど6つの条件があるとのこと。

元号に関して試験に出る要素があるとすれば、それは「日本で最初の元号は何か」でしょう。答えは「大化」で、645 〜650年まで使われました。公式に使われた元号は平成まで合計247あります。元号は明治以降、天皇の代替わりで使用されていましたが、それまでは国に悪いこと(災害など)があるたびに変えるというパターンが多かったそうです。

今までに生前退位した天皇

最後に、今までに生前退位した天皇が存在するか、という疑問にも触れておきます。

実は、大化から江戸時代までは、天皇の半数が生前退位していたというのです。これも頭の片隅に入れておくとよいでしょう。

まとめ:退位特例法の成立に至った経緯を理解しよう

退位特例法の成立までの流れ(中日新聞より)

退位特例法の成立までの流れ(中日新聞より)

覚えておきたいポイントは、退位特例法の成立という選択肢を選んだ経過でしょう。

現状の皇室典範では退位に関する記述がなく、改正をしようとすると天皇が政治に介入することを禁じる憲法に抵触する疑いが出る。また、退位を自由にできるようにすると、何らかの圧力によって退位をさせられるおそれや、恣意的な意思による退位が可能になってしまうことも考えられます。

そこで、今回は「一代限りの特例法にしよう」と自民党などが特例法案を出した。民主党などは「皇室典範を改正して恒久法にするべきだ」との主張をしていました。しかし「特例法が皇室典範と一体を成す」という付則がつくことで、次代の退位の議論の際にも同様の特例法の制定が可能となる認識を示したことで、民主党も納得しました。

採決で反対の立場をとり退席した自由党をのぞき、全会一致で可決されました。退位特例法案は6月上旬にも参院本会議で成立する見通しです。

特例法案の審議時間は2時間半?

通常、特例法案は長時間の審議をするものですが今回は、事前に各党で意見を調整してまとめていたこともあり、衆院議員運営委員会では2時間半ほどで終わったそうです。天皇の体調を考慮しての特例法なので、各党もある程度合意の上で審議を進めたのでしょう。

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2017.08.09

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天皇の退位特例法に関する報道が載った新聞

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新聞社の記者をしています。仲間との起業を夢見て、これまでに学んできたノウハウを記しておきます。現在、主に結婚新聞や企業・団体向けの広報紙を制作していますが「こんな紙面をつくってほしい」とのご要望にも随時お応えしています。